エナメル・チョコレイト

突然のスコールに傘を忘れた皆さん。
こんばんは。


ベランダから夜のネオンはどこか
寂しげに瞬いているよ。


人は、星の明かりを忘れて
ネオンばかりを見るようになった。


私もその一人になってしまったよ。


いつからか
人間は大人という新しい生き物になると
いろんなものを忘れて
他人ばかり気にして生きていくようになるらしい。

嫌だなぁ。


例えば、忘れるということは
忘れた記憶をいつか思い出した時
子供のころはじめて味わった感覚をもう一度感じるためにする事だとしたら。

私はそんな大人になっても
今ここで感じている感覚を
またどこかで思い出すことができるだろうか。

私ははじめてを忘れた。

はじめて歩いた時の事。

はじめて泣いた時の事。

はじめて空を見た時の事。

何一つ覚えていないのです。
それでもなんとなく生きて居られるのは、なんでかなぁ。って。

だからこそ
たまに見る空は
「こんなにキレイだったんだ」って思えるんだね。


忘れていても
そこにあったということは変わらない。



それでもどこかで忘れないで居てくれるなら、それはその記憶の中で息続けられる。


私が居なくなったら。


一つ消えた街明かりに、自分を重ねていた。



ぐんない